Study on the Regional Transformation of Local Community Caused by Tourism Development in Flophouse Area of Airin District Nishinari Ward, Osaka City

  • Hashito S
  • Hsiao H
  • Kana K
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Abstract

1.はじめに 1−1.研究背景・問題意識 大阪市西成区の北東部に位置するあいりん地区 (1) は、主 に日雇労働者が生活拠点とする簡易宿泊所 (2) (以下、簡宿) が集中する地域である。 「日雇労働者の街」や「ドヤ街 (3) 」 と呼ばれるあいりん地区であるが、 2000 年頃から簡宿が外 国人旅行者向けのゲストハウスへと転換されることに伴い、 旅行者を惹きつける街へと変容しつつある 1) 。このような インバウンド需要は、あいりん地区の再活性化の手がかり の一つとして重要視されている 2) 。一方で、ツーリズム主 導の開発は既存の居住空間の喪失や外部資本の無計画な流 入などを引き起こし、地域の持続可能性への課題も指摘さ れている 3) 。従来のドヤ街としての転換期を迎え、地域の 持続性と観光化による活性化の両立が求められる中で、観 光化による影響とその実態を把握する必要があると考える。 1−2.あいりん地区における「観光化」の現状 あいりん地区は、東京都山谷地区と横浜市寿町地区に並 び日本三大ドヤ街と呼ばれ、 1980 年代の最盛期には 200 軒 超の簡宿が立ち並ぶ日本最大級のドヤ街であった。 しかし、 バブル崩壊後の日雇労働市場の縮小と日雇労働者の高齢化 により、 簡宿の宿代が払えず野宿生活を送るものが 1993 年 頃から急増した 4) 。地域内の簡宿は従来からの顧客が野宿 生活をするようになったことに加え、新たな顧客も獲得で きないことから、施設稼働率が大きく低下し、存亡の危機 に瀕していた 5) 。2000 年、この状況に危機感を持った一部 の簡宿事業者は、新たな顧客獲得のために日本人の集客を 目的としたホームページをインターネット上に開設し、 「観 光化」の兆しとなった。すると日本人ではなく、日本語の わかる東南アジアを中心とした外国人の問い合わせと宿泊 が増加し、更に多言語対応のホームページの設置をきっか けに、ホームページを見た外国人旅行者が簡宿を利用する ようになった。 2005 年にはあいりん地区を中心に大阪府簡 易宿泊所生活衛生同業組合の組合員有志により「大阪国際 ゲストハウス地域創出委員会 (The Committee for Creation of Osaka International Guesthouse Area)」が発足され、観光案内 所の設置やパンフレットの作成など外国人旅行者の集客を 目的とした取り組みが実施された 6) 。2018 年には国内外の ビジネス客、観光目的の宿泊客も含めて年間 40 万泊以上 の宿泊者が利用する地域となった 3) 。また、2012 年より、 西成区、特にあいりん地区が抱えている諸問題の数々を解 決することを目的とした西成特区構想が始まり、インバウ ンドの活力や賑わいを取り込んだまちの活性化を目的とし たイベント (4) が実施されている。 加えて、 周辺地域では、 インバウンド需要を狙う開発や、 施策の策定が行われている。 2019 年には宿泊施設兼外国人 の就労支援を目的とした複合施設 「YOLOBASE」 が開業し、 星野リゾートの宿泊施設「OMO7 大阪新今宮」の建設が 2022 年の開業に向け進行している。また、2020 年には、新 今宮北側において観光・賑わいづくりの視点を踏まえた 5 年から 10 年のまちづくりの方向性や将来像を示す「新今 宮駅北側まちづくりビジョン」が策定された。 以上のように、あいりん地区及びその周辺地域では、近 年、行政並びに民間企業による観光需要を狙った開発やま ちづくりの機運が急激に高まっていると言える。 1−3.研究の位置付け 簡易宿泊所密集地域を対象とした既往研究として、近年 では簡宿の用途転換を取り上げた研究が蓄積されている。 これらの研究は、福祉アパートへの用途転換を報告した研 究 7) や外国人旅行者向けの低廉な宿泊施設への用途転換を 報告した研究がある。後者の研究に着目すると、松村 6) は The Airin District of Nishinari Ward, Osaka City, which is well-known as a town for day laborers, has been transformed into an attractive area for foreign tourists by converting flophouses into guest houses. Although tourism is regarded as important measure to revitalize the community, it might also cause a decrease in living space and an unplanned inflow of external capital, which poses a problem from the perspective of regional sustainability. The purpose of this study is to clarify the actual situation of regional transformation due to tourism, by analyzing from the space aspect including and type shops local stakeholders on tourism and the relationships between each entity.

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Hashito, S., Hsiao, H., & Kana, K. (2021). Study on the Regional Transformation of Local Community Caused by Tourism Development in Flophouse Area of Airin District Nishinari Ward, Osaka City. Journal of the City Planning Institute of Japan, 56(3), 1451–1458. https://doi.org/10.11361/journalcpij.56.1451

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