Keyword: delay discounting, internet addiction, attention deficit hyperactivity disorder 緒言 インターネット依存度テスト(Young, 1998)を用いた調査では, 依存傾向が高い者の割合は日本国内で 8.2%であり, 中でも 10-20 歳代は 13.1%に上っている(総務省, 2014)。 注意欠陥・多動性 障害(ADHD)は,衝動性,多動性及び不注意を主症状とする発 達障害である。若年のアルコール依存者の 19%は児童期に ADHD を持っていること(鈴木・武田, 2001)や,ADHD 者は インターネット依存傾向が高いこと(Yoo et al., 2004)等,各種 依存症との関連が指摘されている。ネット依存やゲーム依存は, ADHD の二次障害として捉えられている(村上, 2017)。 インタ ーネットへの嗜癖をもつ者はそうでない者より衝動性が高く(高 橋, 2016) ,アルコール依存症や ADHD などの衝動性を特徴とす る患者は遅延報酬の価値をより小さく見積もる (小野田他, 2009) 。 Evenden(1999)は,衝動性が表出される実験パラダイムとし て, 「準備」 , 「実行」 , 「結果」に関する衝動性の 3 つを提案し, 「結 果」に関する衝動的行動には, 「報酬遅延パラダイム」が利用でき るとした。 その中で, 「即時小報酬 (sooner smaller reward; SS)」 と「遅延大報酬(later-larger reward; LL)」 の二者択一において 前者を選ぶことは衝動的選択,後者を選ぶことはセルフコントロ ール選択とされている(Ainslie, 1974,1975; Rachlin & Green, 1972; Chelonis & Logue, 1997)。 以上より,インターネット依存傾向が高い者は遅延価値割引課 題において衝動的選択をする傾向にある可能性がある。そこで, インターネット依存傾向と ADHD 傾向,遅延価値割引課題にお ける衝動的選択をする傾向の関連性を検討した。 方法 実験参加者:大学生 32 名(男性 8 名,女性 24 名) 。 手 続 き: 成 人期 ADHD 自 己 記 入式 症 状チ ェッ ク リスト (ASRS-v1.1) ,インターネット依存度テスト(Young,1998/久 里浜医療センターTIAR 訳) ,斎藤(2013)を参考に作成した遅 延価値割引課題を実施した。このうち前者二つは質問紙への回答 してもらった。 遅延価値割引課題は,呈示されたスライド画面を見ながら,実 験参加者に A と B から選択してもらう課題によった。A は 1000 ~10000 円の 10 段階を遅延条件ごとにランダム呈示された即時 報酬,B は 1 日,1 週間,1 ヶ月,6 ヶ月,1 年,5 年の 6 段階の 遅延時間後に 10000 円がもらえる遅延報酬である。課題は 60 問 で構成された。さらに,各々の遅延時間条件で即時報酬(A)と 遅延報酬 (B) 間の選択切替が生じた即時報酬量の平均値を算出, それを主観的等価点とし,そこから横軸が遅延時間(日数) ,縦軸 が報酬量(金額)のグラフを作成し,曲線下面積(area under the curve; AUC)を算出して衝動的選択(割引率)の指標とした (Myerson et al., 2001) 。 これが低いほど衝動性が高いことを示す。 ADHD 自己記入式症状チェックリストは, 質問への回答を 0~ 4 または 0~5 点に点数化した。さらに,一日におけるパソコン, 携帯端末,オンラインゲーム機の 1 日平均の利用時間を回答して もらった。遅延価値割引課題の AUC,ADHD 傾向,インターネ ット依存度及びインターネット利用時間の 4 変数のうち各 2 変数 間の相関について,回帰分析を行った。また,各変数につき,関 連を見たい他の一変数の高得点者と低得点者の間で t 検定を行っ た。ここでは女性は上位 1/4 を高得点者,下位 1/4 を低得点者と し,男性は上位 1/2 を高得点者,下位 1/2 を低得点者とした。 結果 女子学生では遅延価値割引課題における衝動的選択傾向が高 いほどインターネット利用時間が有意に長い(p
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Mugishima, G., Nakayama, N., Nagai, T., & Kubo, H. (2017). Relation among impulsive choice on delay discounting, ADHD trait and internet addiction in undergraduates. The Proceedings of the Annual Convention of the Japanese Psychological Association, 81(0), 1D-072-1D – 072. https://doi.org/10.4992/pacjpa.81.0_1d-072
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